制作者のことば

 

こんにちは。直翅系昆虫飼育教室のアウトラインを製作した、弘前大学農学生命科学部
環境昆虫学教室修士1年(1999年現在)の岩田健一と申します。キリギリスの仲間の1
年の過ごし方を研究テーマにしています。

僕がこの教室を作成させて頂いたことにはある目的があります。
それは、あんまり単純かもしれませんが、できるだけ多くの人に直翅系昆虫に親しんで
頂きたいということ。「虫の音world」では沢山の鳴く虫の画像、音声を楽しむことが
できます。それぞれの虫がどのような場所に生息し、いつ頃鳴くのか、といったことを
皆さんは経験的に理解し、巡る季節を楽しんでおられることと思います。

でも、何故エンマコオロギは秋に鳴くのか? といったことをお考えになられたことは
おありでしょうか? 日本には様々なキリギリスの仲間がいますが、どのキリギリスの
仲間も寒い冬の日には鳴きません。キリギリスの仲間はどのようにして、その生涯を送
っているのでしょう?

それぞれの疑問に対する答えは一つではありません。皆さんが虫と親しみ、思いつく疑
問に対する答えも、既に判っているかもしれませんし、そうでないかもしれません。
また、判っている答えのなかには間違っているものも含まれているかもしれません。
真実は全て、生きている虫の中に隠されています。
卵から親にして、また卵を産ませるという作業の繰り返しから、僕は実に多くのことを
学ぶことができました。
また、沢山の小さな感動がありました。その全てをここで紹介するわけにはいきません
が、感動の多くは「よくできてるもんだなあ」というものです。なんか、虫達に失礼な
コメントですよね。でも、日頃から彼等と付き合っていると、人間とずいぶん違うとこ
ろ(なにしろ皮を脱ぎ捨てますからね)や、人間と似てるところ(実に美味しそうに水
を飲みます)が見えてきます。

この教室に先生はいない、と僕は考えています。飼育してわかったことや、疑問に感じ
ること等が掲示板で話し合われ、この教室があらゆる直翅系昆虫の飼育に有用なものに
なってゆけば、僕がはじめにキーボードを叩きはじめた目的は達成されたことになりま
す。

岩田健一

 

 

飼育教室表紙

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